MODELLBAU
1:48 川崎 2式複座戦闘機 屠龍丙型 (Nichimo)

Type2_Toryu_1
製作:1996年2月29日
記事:1997年3月1日
もちろん2式複戦としては1/48唯一のキットである。
ニチモ・スタンダードと言うべきデキであるが、外形的に問題があり、機首が極端に短い。どうもこれは、乙型の寸法で丙型を作ってしまったのが原因のように思える。
このキットを作る場合、この機首だけは延ばしてやらないと恰好が悪いものとなってしまう。
もうひとつ気になるのが、排気管でキットのは後期型の単排気管となっているが、キット指定の胴体帯付き25番機とする場合には、集合排気管に改造してやる必要がある。

細部的には、同社の1式戦99式軍偵ほど、細かく凝っておらず、エンジンなどは作り易いがコクピット内部は若干、手を抜いている気がしないでもない。

◇コクピット・キャノピー
コクピットはニチモキットとしては、あっさりしたデキで、特に後部座席が半ば解放なので、手を入れないと寂しい感じである。
内部塗装色は川崎製の機体ということで、カーキ色(グンゼカラー55番)で塗ってある。
後部座席は特に資料もないので、0.3mmプラ板で内部にリムを適当に追加し、座席ベルトもドラフティングテープで追加して見た。
また、照準器のレフレクタは薄い透明プラ板(おせんべいの袋に入っているトレイ)で作り直した。

キャノピーは枠が太く、前席、後席とも幅が狭い。また、前面ウィンドシールド部はキットように全部が曲面ガラスではなく、前面部は照準する関係からか平面ガラスがはめ込まれている。ここは塩ビ板などで作り直したいところだが、めんどうなのでキットのものを無理矢理に使ってある。
前席の左側には開閉用のハンドルが付いているので、延ばしランナーから削り出して追加してある。
また、前席後部の窓は胴体との合いが良くないので、充分にする合わせる必要があった。

◇胴体
最初にも書いたように、機首が短い。そこで、キャノピー直前で一度切り離し、1mmプラ板を7枚積層にしたものをはさみ込み延長してある。
もともとのカーブが急峻なので、だいぶすき間ができるが、後からパネルラインとリベットを打つことを考えてできるだけ、プラ板によりすき間を埋めるようにしてある。延長した機首にパネルラインとリベットを打つが、機銃点検用のパネルは写真で見る限り、左右で位置が違うようなので、左側を3mmほど前にして見た。
また、機首先端にも機銃口が開いているので、開口してある。
胴体下面に付くよう指示されている部品は、37mm砲搭載時のものなので、取り付け穴とパネルラインは埋めてある。(この丙型は20mmを積んでいるはずである)胴体尾端の航行灯はクリア材に交換してある。

今回、7mm延長したが、これはちょっと延長し過ぎで、5mmぐらいが適当のようだ。また、先端部で急に落ち込む機首ラインが充分に表現できなかった。

◇主翼・尾翼
主翼は翼端部が尖り過ぎているので、削り込み航行灯は赤と青のクリア材で作り替えてある。また、左翼前縁の着陸灯もただのモールド表現なので、塩ビプレスでガラスを作り、内部には電球を手芸用の光物(名前は良く分からない)で再現してある。
内翼に付く燃料クーラーは穴が開いていないので、ドリルで多少彫り込んである。また、最後になって気が付いたのだが、主翼付け根に何か(たぶん燃料タンク)の取り付け用金具とパイプが付いている機体があったようだ。このパイプが付いていない機体もあるので、気にすることはないし、乙型などの初期タイプだけに付いていた可能性もある。

水平尾翼は、資料の図面からすると若干小さいようであるが、気になるものではないし、図面が合っている保証もない。
垂直尾翼のラインは本機の特徴で、キットはこのカッコ悪いラインを、良く再現していると思う。

◇エンジン・プロペラ
エンジンも同社の一式戦ほどではないが、良くできており実感あるデキである。私はどうせ見えなくなるので排気管のパーツは省略してしまった。
さて、問題の排気管であるが、今回は第53戦隊の80番機(キット指定の25番機の後ろに写っている写真がある)とするので、集合排気管に改造してある。単排気管を削り取り、すき間を瞬間接着剤で埋め、カウルフラップを彫り直すだけだが、キットのカウルフラップのパネルラインは浅くて、メリハリがないため、全体的に深くしてある。排気管は適当なストローから作ってある。
この屠龍で良く分からない部分のひとつに、両ナセル外側に開口している排気口がある。手持ちの資料では何の排気口だか全然分からない。このキットでは、この排気口がただのくぼみになっているので、一度穴を開け適当なビニールパイプで奥行きを出してある。
エンジン下面に付くオイルクーラーは少々、小さいようである。また実機ではクーラー内部に整流板が付いているが、クーラー自体が小さいこともあって再現できなかった。

プロペラ・スピナーは特に問題ない。

◇降着装置
主脚、尾輪とも良くできており、特に主脚のパーツ構成は取り付け角度も正確に決まるし、強度も充分に取れる優れ物のデキでわる。尾輪は、製作の都合などから最後に差し込めるようした。
主脚にはプレーキパイプを追加するが、今回は細いハンダ線を使って見た。また、何だか良く判らないのだが、尾輪にもパイプが付いているので、これも引き延ばしたハンダ線で再現してある。

主脚の格納庫内部は、前にも書いてあるナセル外側の排気口の関係もあって、サッパリ分からないので、キットのまま何もしていない。また、格納カバー裏側も細部が判る写真がなかったのでキットのままである。

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◇小物
コクピット後ろの上向銃は、細くて迫力がないため、1.2mmと1.0mmのアルミパイプを組み合わせて作って見た。また、この取り付け穴には、キャンバスのカバーがついているので、タミヤの造形エポキシパテで再現してある。
ピトー管も、金属パイプと金属線で作り直してある。

アンテナマストはキットのものに付いている尖りを削り落として使用してある。アンテナ線は初めて髪の毛で張って見たが、スケール感は良いが強度的には問題であろう。アンテナ線に付くガイシはエポキシ接着剤で表現してある。

◇塗装・マーキング
塗装は第53戦隊の80番機とした。
塗装はキット指定のように、全体が明灰色で、上面に緑褐色の斑点迷彩である。
マーキングはキット指定の25番機と違い、胴体の赤い帯がなく、機番の80は25より一回り大きいようである。
また、スピナーには暗褐色一色で、25番機のような塗装のスジは入っていない。この80番機は写真でみると、機首先端部分を黄橙色で塗ってあるようだが、おもちゃっぽくなってしまう気がしたので、省略してある。
塗装は全てフリーハンドのエアブラシ、マーキングはマスキング+エアブラシであるが、機番の80のみデカールの余白にインレタを刷り込んだものを貼ってある。
全体のツヤは防空戦闘隊であったことを考慮して、半ツヤ消しより多少ツヤあり気味にしてある。最後にアクリルカラーのフラットブラックを薄めたものでスミ入れをし、パステルの粉で軽く汚しをかけてある。

◇まとめ
基本的には良いキットなのだが、機首の延長や排気管タイプの変更など、けっこう手間がかかってしまった。
完成すると、やはりキャノピーの枠が太いのが気になる。
バリエーションもいくつかある機種なのだが、もう1機作くる気にはならないキットである。

◇参考資料
1) 世界の傑作機 No.26 1972年6月号 二式複座戦闘機 屠龍