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製作:1996年5月31日
記事:1996年6月1日
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フジミの多少古いキットではあるが、デキは良い方で発売時期を考えると、十二分な内容だと思う。
パネルラインは細い凹ラインで表現されていて、パーツ段階でみると一見デキが良いのだが、組んでみると機首部やエンジン部・プロペラなどの形状表現がまずく、全体のイメージを損ねている。
また、細部表現も現在の目で見るとイマイチの部分が多い。
1/48スケールのBf110としては、このキットが現在のところ唯一のものである。これ以外には、このキットを利用したムーブのG型があるだけだが、価格も高くマルチマテリアルとなっているようで、内容も一般的ではない。
最近になってようやく、モノグラムからBf110G型のキット発売がアナウンスされたが、まだ現時点で発売されていないようだ。
Bf109のキットがいくらでもあることを考えると、このBf110に対する扱いは少々ひどいかもしれない。
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◇コクピット・キャノピー
コクピット内部は一応のものは部品化されているが、キャノピーが大きく透明度も良いので、写真を参考にしながらサイドパネルや後部計器などに多少手を加えてみた。
座席も後部座席はパイプのフレームにベルトが編み込まれたタイプのようなので、メッキ線を四角に曲げてハンダ付けしてフレームを作り、ドラフティングテープでベルトを編み込んだものに交換してある。
キャノピーは、前席が開閉2種類のパーツが選択できるが、今回は閉状態のパーツを使用した。透明度、形状、フレーム位置など問題ない。
キャノピー左舷のパイロット後方に、何かの機器がついており、キットもちゃんとパーツ化されているが、接着でドジってしまいキャノピーを白濁させてしまった。
後部銃座のMG17は、ファインモールドのホワイトメタル製を使うつもりだったが、なかなか買いに行く暇がなく、結局キットのパーツを使ってしまった。
なお、この銃座はキットのように半円形に風防が切り欠かれているだけでなく、キャンバスなどで覆われているので、マスキングテープで再現してみた。
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◇胴体
胴体はキャノピーから水平尾翼にかけてのラインが、実機と若干違うようだが気になるほどではない。胴体後部端はC型なので短いタイプ(救命ボートなし)だが、胴体部と間に若干の段差ができる。
機首部の形状だけは修正してやらないと、イメージが大きく狂ってしまうので修正した。
ここは、まず機首部パーツを接着する時にプラ板をはさんで2mm延長する。この際、上部のラインがつながるように接着する。こうすると、下部のラインは1〜2mmほど段差が出るので、ここをツライチになるように削ってやると、比較的簡単にそれらしい機首ラインになる。
当然、パネルラインは消えてしまうので、アクリルカッターなどで、彫り直してある。また、機首下面の20mmの薬きょう排出口が開口していないので開けてある。
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◇主翼・尾翼
主翼は平面形や翼断面形、パネルラインラインなど問題ないので、細部を多少デティールアップしてある。
まず、ラジエータ前部が筒抜けになっているので、プラ板で塞ぎ、内部も寂しいのいでラジエータを追加してある。後部のラジエータフラップは別パーツだが、エッジが厚いので0.3mmのプラ板で作り直した。
左翼前端の着陸灯はクリアパーツにはなっているのだが、イマイチの表現なので、大きく切り欠いて反射鏡を仕込み、ガラスは塩ビ板をヒートプレスしたもので作り換えてある。また、この着陸灯の隣にある気化器取り入れ口内部には、メッシュを仕込んである。(実機では縦スリットになっている)
翼端灯はいつものようにクリア材で作り直した。
水平尾翼と垂直尾翼は、胴体との接合部に気を付ける程度で良いと思う。。
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◇エンジン・プロペラ
エンジンカウリングや翼上部フェアリングの形状が良くないのだが、手を加えると収拾がつかなくなるので、キットのまま作ってしまった。
前部のオイルクーラは、開口部からすぐ壁になっていて、前から覗いた時に実感に欠けるので、壁を切り取りラジエータを少し奥まったところに作ってある。
プロペラは一見すると、作り直しかハセガワのBf109Eあたりからの流用を考えさせられたが、一番幅が広い部分を付け根から1/4ぐらいのところになるように、キットのパーツを削ってやれば、使える形になってくれる。
排気管もいまいち形状が良くないのだが、目をつむることにした。しかし、組み上げて排気の汚れを施すとけっこう目立たなくなってくれる。
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◇降着装置
主脚は良くできている。特に、主脚柱についているカバーオプナーは繊細なモールドで素晴らしいできである。
デティールアップとしては、トルクリンクをプラ板と延ばしランナーで作り換え、ブレーキパイプを細いハンダ線で追加しただけである。
主輪も問題ないが、キットのまま組み立てると、前から見て主脚柱は地面に直角なのだが、主輪が内股になってしまう。最初はびっくりして修正しようとしたが、よくよく写真を見るとこれが正解のようである。
主脚カバーは裏側のモールドものっぺりとして寂しいが、資料を捜してもどうなっているか良くわからなかったので、キットのままとしてしまった。
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◇小物
胴体下面に付く爆弾ラックであるが、手持ちの写真で確認できる範囲ではC形からG形まで含めて、このキットよりサイズが一周り小さいものしか見つからなかった。また、主翼取り付けボルトカバーは、半分ほどこのラックカバーに食い込んだ形になるようだ。修正は面倒なのでそままとした。
胴体下部の電波高度計用アンテナ(タオル掛けではない)と2重ループアンテナ、足かけなどは金属線(メッキ線や真鍮線)で作り直してある。
機首の7.7mm機銃はけっこう目立つポイントなので、アルミパイプを加工したものに替えてある。
アンテナ柱はキットのものを使った。アンテナ柱真下のキャノピー内部には何かの機器が付属しているようだが、後になってから気がついたためフォローできなかった。
アンテナの貼り線はミシン糸を三つにばらしたものを使い、碍子はアクリル系接着剤を玉にしたもので再現してみた。
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◇塗装・マーキング
塗装は、キット指定のVespe(すずめ蜂)マークの5/ZG1 G9+INとした。
キットの指定塗装も資料(1)の指定塗装も、いまいち納得がいかなかったので、普通のRLM74、RLM75、RLM76の迷彩とした。
機首のマークは基本的にはマスキング+エアブラシで仕上げ、輪郭の黒縁のみデカール+手書きである。
国籍マークとスワチカは白だけマスキング+エアブラシで書いて置いて、黒部分は付属のデカールを使ってある。
コードレターは付属デカールである。
今回、機首のスズメ蜂マークと胴体の帯に黄色には、特色のRLM66を使って見たが、渋めの色合いで、下地の遮蔽も比較的良く、感じ良く仕上がった
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◇まとめ
細かい注意書きデーカルを貼り、半艶消しクリアで仕上げて完成した。全体イメージは機首を調整したためか、良くなっていると思う。
このキットはもうひとつストックがあるのが、そちらのほうは夜戦型の黒一色に赤いコードレターとするか、グリーン系にドラゴンマーク(2/ZG76 A2+)を付けてみたいと思っている。
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◇参考資料
1) 世界の傑作機 1973年6月号 メッサーシュミットBf110
2) インアクションシリーズ Bf110
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