MODELLBAU
1:48 三菱 零式艦上戦闘機52型乙 (Tamiya)

Type0_Fighter52b_1
製作:1996年9月6日
記事:1996年9月15日
タミヤの一連の零戦シリーズの1つである。古いキットではあるが、プロポーションやディテール感が良く、なんと言っても価格が安い傑作キットである。

キットは52型丙となっているが、主翼にゴテゴテと付いているのは零戦らしくないので、52型乙に改造してある。製作したのは、手持ちの資料から52型乙として唯一、塗装とマーキングが確認できたフェリーまたは訓練中の中島製51番とした。

◇コクピット・キャノピー
少ないパーツでそれらしく仕上がるようにできている。このあたりがタミヤのすばらしい所である。
座席の軽め穴をピンバイスで開口し、シートベルトを追加してある。ヘッドレストの後ろにピンバイスで軽め穴を開けて置くと精密感が増す。
また、通常の場合、機銃は右側にのみ13mmが付いていたので、左側の機銃機関部を削り落とし、機銃取付部をプラ板でそれらしく作ってある。

タミヤのキャノピーは、少々幅が狭い。できるだけ胴体にフィットするように組み立てたが、段差ができてしまった。形状も第3風防の、第2風防とのオーバーラップ部分が細すぎたりするので、塩ビで絞り直すか、市販のキャノピーと交換したいところである。

◇胴体
このキットが発売されたころのタミヤは、凸彫りと凹彫りが入り交じったパネルライン表現を取っているので、凸彫りとなっているパネルラインを凹彫りに彫り直してある。

◇主翼・尾翼
52型丙から52型乙への変更点は、主に主翼に集中している。
まず、爆弾やロケット弾ラック全て削り落とす。次に外側の13mm機銃は装備していないので、薬きょう排出口や点検パネルを全て埋めてある。
尾翼については問題なく、パネルラインに関しては、胴体と同じに凹彫りに直してある。

◇エンジン・プロペラ
エンジンは、最初からプッシュロットを自作するようになっており、ちょっと不親切な感じである。

プロペラは、スピナー先端部品と一体モールドなので、一度切り落としてから、スピナーだけを組み立てて形を整え、パネルラインやピッチ調整用穴などを表現してやる。 最後にプロペラを一枚づつ、取り付け角度に気をつけて、接着してある。

後で資料を読んでいて分かったことだが、タミヤのスピナーは32型と同じ部品を使っているため、若干小さめで、ほんとうは一回り大きくする必要があったようだ。今回は、多少前方にオフセットさせて誤魔化してある。

カウリングは一回り小振りな気もするが、そのまま使用した。ただ、一番下のカウルフラップが排気管と一体整形なので、プラ板で排気管・カウルフラップとも作り直してある。このカウルフラップは閉状態でも若干、開いているようだ。

◇降着装置
主脚カバーの取り付け板?にブレーキパイプが通っているので、ピンバイスで穴を開け、極細ハンダ線でブレーキパイプを自作してある。
尾輪は、押し出しピンが目立つのでパテで修正したぐらいである。着艦フックは付いていない可能性もあるが、一応つけてある。

Type0_Fighter52b_2 Type0_Fighter52b_3 Type0_Fighter52b_4
◇小物
主翼の20mm機銃の銃身は、0.8mmのアルミパイプの先を千枚通しで拡げたもので作って見たが、真鍮パイプから作るより簡単にできるし、だいぶ感じよくできていると思っている。
ピトー管とアンテナ柱はキットのものをそのまま使用した。

胴体下面の燃料タンクは、丙型と乙型では取り付け方法が全く違うので、キットのパーツは使えない。写真を見ると装備しているので、ハセガワの52型から流用した。

◇塗装・マーキング
塗装は、下面:明灰白色、上面:暗緑色である。三菱製と中島製とでは、塗装の塗り分けラインが違っているが、今回のは中島製であるので、胴体の塗り分けは尾端までまっすぐである。
最近では、三菱製と中島製の暗緑色がそれぞれ発売されているが、そこまでやる必要があるのか、はなはだ疑問である。

塗装は、日の丸も含めて、マスキング+エアブラシで仕上げた。ただ、フラップ上部の歩行禁止部分を囲っている赤線を入れ忘れたので、ハセガワの52型のデカールから流用してある。
ちなみに、赤線部分を後から塗装するために、マスキングしようと試みたが、全くうまく行かなかった。ここは、塗装の一番最初に赤を塗って、細いテープでマスキングしてから、本塗装を行わないといけなかった。

選んだ機体はフェリー中かテスト中の機体らしく、マーキングは垂直尾翼に「51」の製造番号下2桁が入っているだけであるが、これには高さ4mmのインレタを使用した。一応、主脚カバーにも「51」を黒いデカールで入れてある。

◇まとめ
零戦は基本形からしても、塗装のパターン、色合いなどからしても、おもちゃっぽいイメージが付きまとってしまう機体なので、できるだけ実機の雰囲気が出るように、よごしをかけてある。

全体形は、同じ時期に完成したハセガワの52型と並べてみると、キャノピー直前の機銃フェアリングの傾斜が急過ぎる点だけが気になった。もっとも、ハセガワのものはここが寝過ぎていて、零戦のイメージを大きく崩している。

個人的には、零戦はあまりにも有名機過ぎるし、特に52型は「特攻機」のイメージも強いので、あまり好きな飛行機ではない。作ったのも全スケールを通して、20年ぐらい前にタミヤ1/48の21型を作って以来のことである。

◇参考資料
1) 世界の傑作機(新シリーズ)No.7 1987年7月号 零式艦上戦闘機11型〜21型
2) 世界の傑作機(新シリーズ)No.9 1986年3月号 零式艦上戦闘機22型〜63型
3) モデルアート 1995年10月号
4) モデルアート 1995年11月号
5) モデルアート 1984年12月臨時増刊号 零戦
6) Aearo Detail 7 三菱零式艦上戦闘機
※資料(5)と(6)は毎度の事だが、増原氏からお借りした。いつも、ありがとうございます。