MODELLBAU
1:48 川西 局地戦闘機 紫電11型甲 (Ootaki)

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製作:1997年5月12日
記事:1997年5月18日
オオタキの1/48シリーズでも比較的初期のキットで、ストレートに組んだだけでは、だいぶつらいものがあるキットである。特に、紫電 独特のねじり下げや大きな主翼フィレットなどが、全く再現されていないのは、何とかしたいところである。

という訳で、大幅に手を入れるつもりで作業を進め、主翼のねじり下げと、主脚収容部まで手を加えたところで、最近のパターン通り、タミヤから新キットが発売されてしまった。
タミヤの新キットを見てしまっては、このキットに力を入れる気力も無くなってしまい、主翼フィレットまでは何とかして、後はストレートに組み立てることにした。

◇コクピット・キャノピー
ここは、ストレート。そのままでは寂しいので、タミヤの零戦21型のパイロットを乗せて、ごまかしてある。
キャノピーもキットのままだが、オオタキのキットは全般的に内側の磨きがラフで、塗装が終わってキャノピーのマスキングを剥がした時に、がっかりすることが多い。
このキットもまさしくそれで、キャノピーのマスキングを剥がすまでは、まあまあだと思っていたのが、剥がしてからは評価が2ポイントは下がってしまった。

◇胴体
胴体下面のキャノピーの下辺りに、半円形の穴が開いている。たぶん、オイルクーラの排気口のつもりらしいが、実際は半円形に切り欠かれたフラップが付いているだけなので、プラ板で塞いである。
尾端の尾灯は大きく良く目立つところなので、当然透明パーツで置き換えてある。

カウリングのカウルフラップは、排気管と一体成形で、カウルフラップの切れ目もなく、パーツで見ると、ちょっと?の感じであったが、切れ目をパネルラインし、固定部分にリベットを打っただけで、見られるできとなった。

◇主翼・尾翼
主翼は、ほとんどガル翼に見える独特のねじり下げを再現するために、内部にアクリルカッターで切り込みを入れ、金属板を芯にして無理矢理ねじってあるが、少々無理が過ぎたようで、塗装後も主翼上面に、不自然なラインが残ってしまった。
また、主脚収容部が浅く実感がないので、リュータで全部くりぬき、プラ板で仕切りやリブを作ってある。ここは、胴体部分も合わせて削り込む必要があった。

水平・垂直尾翼とも、そのままであるが、水平尾翼と胴体のすき間を埋めるのに、トリムタブのリンクを一度削って、プラ板で作り直す必要があった。

◇エンジン・プロペラ
エンジンは、カウリング開口部が小さく、良くみえないので、キットのままで、全く手を加えていない。

プロペラ・スピナーも、だいぶ不満ではあるが、キットのままである。

◇降着装置
主脚は、基本はキットを使い、トルクリンクをプラ板で自作し、ブレーキパイプを細いハンダ線で、追加してある。
主輪は、キットのはひど過ぎるので、タミヤ零戦21型のジャンクから流用してある。
主脚カバーは、プラ板で自作したくなるのを、こらえてキットのまま使用してある。

尾輪は、布製カバーの表現につらいものがあるが、キットのまま使用した。

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◇小物
胴体左側に付く燃料クーラは、穴が開いていないので、ピンバイスで開口した。
また、武装の20mm機銃とピトー管は、いつものように0.8mmのアルミパイプなどで自作してある。翼下面の20mmゴンドラはキットのままである。

燃料タンクは、キットのもので充分だと思う。もちろん、そのまま使用してある。

◇塗装・マーキング
塗装・マーキングは、手持ちの資料では確認できなかったが、キット付属の第210航空隊の「210-134」号機とした。
塗装は、下面:無塗装の可能性もあるが、下面:明灰白色+上面:暗緑色の標準塗装である。全面に打ってあるリベットを多少、目立たなくするため、何回も下塗りを行い、日の丸を含めて、マスキング+エアブラシで仕上げた。

今回も、塗装のはく離を再現しようと、銀塗装をした後でオイルを全体に塗りつけてから、本塗装を行い、テープで剥がしにかかったが、オイルが少なすぎたせいか、うまく行かず、結局「工場出荷時=部隊受取直後」の塗装となってしまった。

尾翼のマーキングは、キットのものを使ったが、若干オーバースケールのようだ。ちなみに、デカールのうち「ケ-1172」号機は、20mm機銃を4門とも主翼に内蔵した11型乙なので、このキット(11型甲)では使用できない。

◇まとめ
タミヤの新キット発売のおかげで、当初の意気込みからは、だいぶ後退した仕上がりとなってしまった。
特にキャノピーと主脚まわりは、キットの古さを物語っているようだ。
もっとも、ここを当初の予定通り、ハセガワの紫電改から流用したり、完全に自作するとなると、タミヤの新キットを製作した方が、早いことになる訳で、古いキットのまとめ方の難しさを感じた。

私のストックのなかで、旧オオタキのキットも、これでだいぶ残り少なくなってきた。最近、旧オオタキが発売していた1/48の飛行機は、ほとんどのものがハセガワやタミヤで更新されている訳だが、そのために古いキットのストックをお蔵入りとしたり、捨ててしまったりしないで、何とか完成にこぎ着けたいものである。

◇参考資料
1) 世界の傑作機 No.2 1971年5月号 紫電と紫電改
2) モデルアート No.443 1995年2月号