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製作:1997年5月12日
記事:1997年5月13日
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1994年のタミヤの新しいキットである。1/48のF4Fのキットというと、モノグラムがあるが、このキットを私は持っていないため、比べることはできない。ただ、時期的にいっても、このタミヤのキットがしばらくの間は、ベストキットであることに間違いはないだろう。
キットは、最近のキットとしては珍しくリベットが打ってある。しかも、凸と凹の表現を実機の通り、枕頭鋲と通常のリベットで使い分けている念の入れようである。
確かに、完成するとF4Fの無骨な表面仕上げが再現され、単なるパネルライン表現や、単一なリベット表現にはない雰囲気が出てくる。ただ、その分組み立てや塗装に気を使うキットとなっている。
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◇コクピット・キャノピー
コクピット内部は、資料も十分にはなかったが、キットのままで十分なデキではないだろうか。
メータパネルは塗り分けで、パネルをフラックブラックに塗ったあと、メータを艶ありのダークブルーで塗ってみた。
照準器や座席もキットのままである。シートベルトは、ファインモールドのエッチングパーツ(米軍機用シートベルトセット)から、前期型の幅が広いタイプを付けてみた。
キャノピーは、作業しやすい分割式で、透明度も良く、形や胴体との合いも問題ない。ただ、可動風防部分を開けた状態としようとすると、そのままという訳にはいかないようだ。
ここは、パーツの厚みを考えると、正しく外形をスケールダウンした場合、うまく行くようにするのは無理な話で、作業性の向上のため、分割されていると理解したほうが良いようだ。
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◇胴体
胴体は、カウリング以外は、凸リベットが打ってあり、できるだけ消さないように整形するのに、気を使った。また、胴体下面中央には、アメリカ軍機独特の3色灯がついているが、これがこのキットでは透明パーツとなっていない。オオタキのF6Fでは、無視して(忘れて?)しまったが、今回は透明パーツ+フィルタ(セロハン紙)+反射板で置き換えて見た。
しかし、作業性が悪い場所だったので、透明パーツの厚みを薄くできずまた、磨きも不十分で大失敗となってしまった。結局、透明パーツの上からクリアカラーを塗ってごまかしてしまった。
胴体下面の窓は、少々 合いが悪くパテのお世話となった。ここも、凸リベット多く、整形に気を使うところである。
ところで、ランディングギアが入る胴体内部は、キットではジンクロの指定だが、写真を見る限り、下面が白塗装の機体は、内部も白いようなので、白くした。
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◇主翼・尾翼
主翼は、特に問題ないが、タミヤらしく機銃を上面パーツと一緒に成形してあるのは、考えもので、銃身を金属パイプと交換するためには、削り落として成形し一度、延ばしランナーで埋めてやる必要があった。
また、主翼に燃料タンクが付くようになっているが、取り付け穴が隠し穴ではないため、今回のように、タンクを装備していない機体を製作しようとすると、余計な手間が掛かってしまう。さらに、この辺りも凸リベットが多く、最初は気にしていたが、結局は整形のため、ほとんど消えてしまった。
垂直・水平尾翼は、合いも表現も最高のデキである。ただ、垂直尾翼上端のアンテナ線支柱は細くて、折ってしまったため、0.3mmの真鍮線で作り直してある。
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◇エンジン・プロペラ
エンジン・プロペラとも、申し分ないデキである。また、プロペラの固定に、戦車のホィールなどでよく使う、プラスチックブッシュを使ってあり、後からのプロペラ取り付けが、たいへん楽になった。
問題と言えば、プロペラ付け根に結構大きな段差ができており、整形に手間取るぐらいか?
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◇降着装置
このキットは、他のところでは、パーツを減らそうとしているが、F4Fの複雑なランディングギアを再現するためには、部品数をけちっていない。かと言って無闇に多い訳でもなく、良く考えられたパーツ分割のおかげで、簡単に複雑な足周りを再現できる。
主輪も表側のホィールが別パーツとなっており、整形、塗り分けとも楽な構成となっている。
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◇小物
今回、燃料タンクは付けていないが、少々細部を省略しすぎかな?と思えるできである。
主翼の機銃は、0.8mmのアルミパイプで置き換えてある。
胴体のアンテナ柱は、キットのままだが、左側のアンテナ引き込み部を0.3mmの真鍮線で追加し、アンテナ線はうちの奥さんの髪の毛で張ってある。
アンテナ線に、髪の毛を使う場合の注意としては、湿気を吸うと伸びてしまうので、水に浸して伸びきった状態で使用すると良いようだ。もちろん、乾燥すると縮んでくるので、アンテナ柱には、充分な強度が要求される。
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◇塗装・マーキング
資料(2)に掲載されていた、対潜哨戒迷彩の機体(VC-58所属機?)とした。資料の写真説明では、FM-2となっているが、明らかにFM-1またはF4F-4で、どちらか分からないので、キットのままF4F-4としてしまった。
ちなみに、同じ資料(2)のなかでも、塗装例の記事では、FM-1となっている。FM-1とする場合、機銃を4丁に減らす必要があるかもしれない。
塗装は、下面、側面が白、上面がダークガルグレイの非常にシックなもので、私としては大変気に入っている。塗装と国籍マークは全て、マスキング+エアブラシ仕上げだが、前述の凸リベットのおかげで、マスキングが密着せず、後からだいぶ手直しが必要であった。
尾翼の4番はキットのデカールから、同じく尾翼の「U.S. NAVY」「F4F-4」はオーバースケールだが、キットのデカールを使ってしまった。またカウリングの4番は、どこかのデカールから流用である。
最後に、アクリルのダークグレイで軽くスミ入れを行い、仕上げに若干フラットが強い半艶消しクリアで、艶を整えてある。また、機銃周りや、排気管のスス汚れは、パステルの粉を綿棒でこすり付けて再現した。
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◇まとめ
コロッとした感じのかわいい小さな機体(と言っても零戦と同じようなものだが)で、今回のように、下面の3色灯や機銃、増加タンクなど、細かいことを言わなければ、パッパッと完成してしまうだろう。
この2色迷彩以外にも、通常の3色迷彩や、初期のブルーグレイ+ライトグレイ迷彩、イギリス迷彩などがあり、F4F-3に改造すれば、主翼上面がクロームイエローの派手な(恐ろしい?)迷彩も可能である。このように、もとがしっかりとできているので、いろいろと塗装を楽しみながら、いくつか並べて見たいキットである。
最後に、バリエーションであるが、F4F-3やFM-1は何とかなるとしても、F4Fシリーズ中、一番多く生産されたFM-2はカウリング周りや、エンジン、プロペラ、垂直尾翼などを新造しなくてなならないので、厳しいものがある。ここは、タミヤさんに頑張ってもらって、発売して頂きたいものである。
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◇参考資料
1) 世界の傑作機シリーズ 16集 F4Fワイルドキャット 1971年1月号
2) 世界の傑作機 No.115 F4F/F6F 1979年11月号
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