MODELLBAU
1:48 三菱 局地戦闘機 雷電21型 (Tamiya)

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製作:1997年4月3日
記事:1997年5月18日
20年ほど前に発売されたタミヤのキットであるが、外形はもちろん、デティールの緻密さは発売時期を考えると、ただただ驚くほかない。
長い間、1/48でのベストキットであったが、最近になってようやくハセガワから新キットが発売された。
しかし、今回製作してみるとキャノピーなどの合いが悪い以外は、ハセガワの新作と比べて、さほど見劣りしないデキのキットで、価格のことも考えると、まだまだ一流のキットである。

◇コクピット・キャノピー
コクピット内部はハセガワに比べるとパーツ数も少なく、キャノピーを通して良く見えるだけに物足らない気もするが、基本的なパーツは全て揃っている。
ここは、胴体と一体となって形が悪い照準器を別なキット(たぶん2式水戦)から流用し、ヘッドレスト後部の支柱部分の軽め穴をピンバイスで貫通させただけである。 防弾ガラスは積んでいない機体も多いようだが、キットの指定通りに装備した。

普通ならシートベルトをドラフティングテープかエッチングパーツで追加するところだが、今回はキットのシートにモールドに塗装して済ませてしまった。

キャノピーは、形や透明度は問題ないのだが、胴体との合いが非常に悪い。ここは、後ろの固定部分を切り離し、それぞれに胴体側にプラ板を挟んで調整してある。それでも隙間が結構できるので、そこはパテで埋めで整形してある。

◇胴体
外形的には特に問題ないと思うので、この当時のタミヤタッチである、凸線と凹線の混在のパネルラインを、凹線で統一してやった。
また、カウリング前部パーツの胴体との合いが悪く、だいぶ削ったりパテを盛ったりする必要があった。
胴体尾部の航行灯は透明パーツで置き換えてある。

◇主翼・尾翼
主翼・尾翼とも、外形や断面形など問題なく、胴体同様パネルラインを凹線に統一し、主翼端の航行灯を透明パーツに置き換えてあるだけである。
主翼の20mm機銃のカバー部分も合いが悪いところで、充分に修正し機銃の穴をきれいに開けて置いた。(機銃自体は、金属パイプから自作した)

◇エンジン・プロペラ
エンジンは付いていない。この形式では特にエンジンパーツがあっても仕方ないと思うのだが、オオタキ1/48は付いているらしい。

強冷ファンのバリを丁寧に取り、プロペラも丹念にパーティングラインを修正すれば、充分なデキである。

このプロペラは、機体によって違いがあるので充分に注意が必要で、キットに付いている根元の細いタイプは21型でも初期型用である。今回の塗装とした「ケ-1105」はこの根元が細いタイプで、間違いない。
根元が太いプロペラ装備を作る場合は、もちろんハセガワ1/48を作るのが手っ取り早い。

◇降着装置
主脚・尾輪ともキットのままで、問題はないだろう。私もストレートに組んだだけである。
いつもなら、ブレーキパイプを追加するところだが、今回は手を抜いてしまった。あとで、気が向いたら追加しようと思っている。
ちなみに、主脚カバーはキットのように一枚ではなく、零戦と同じように下の台形部分と脚の長方形の部分とが分かれているのが正解である。

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◇小物
機銃は、0.6mm径のアルミパイプを加工して作った。アルミパイプだと、先端のテーパが実機とは違ってしまうが、加工が簡単だしデキ上がりも悪くない。
内側の二号四型(長銃身)は当然として、外側の一号四型(短銃身)も短い銃身を作って埋め込んである。

ピトー管は、0.6mm径のアルミパイプと0.3mm径の真鍮線との組み合わせで作り直した。主翼上面にある、主脚出し支持棒も0.3mm径の真鍮線で追加してある。

増加タンクを装備させたが、外形などは問題ないとして、機体との取り付けがイマイチ決まらないので、取り付けにだいぶ苦労させられた。

◇塗装・マーキング
塗装は、下面:明灰白色上面:暗緑色の標準塗装。マーキングは元山(ゲンサン、ハングル読みだとウォンサン)航空隊の「ケ-1105」号機とした。
国籍マークは、マスキング+エアブラシで仕上げ、それ以外はキットのデカールを使用した。

主脚カバーに付いている、搭載重量指示マークは、貼ったデカールが、いつの間にか無くなってしまったので、後から何とかするつもりである。

仕上げには、セミグロスのクリアで艶を整え、アクリルのフラットブラックで動翼やパネルラインに、軽く汚しをかけてある。排気管や薬きょう排出口のスス汚れは、パステルの黒を綿棒を使ってこすり付けてある。

◇まとめ
パーツ段階ではただ太いだけの不細工な機体だったのが、完成するとスピナーから尾部にかけて、それなりの流線美を持った戦闘機に変身した感じである。
この21型の次は、ハセガワの31型を製作する予定である。このキットのおかげで、雷電のカッコ良さを見直してしまった。ハセガワの21型も製作しようか?

◇参考資料
1) 世界の傑作機 No.6 1996年11月号 海軍局地戦闘機「雷電」
2) 丸メカ No.7 1977年11月号雷電
3) モデルアート No.485 1997年2月号