MODELLBAU
1:48 Focke-Wulf Fw190D-9 JG4 (Tamiya)

Fw190D-9_JG4_1
製作:1997年11月29日
記事:1998年1月7日
タミヤの新しいキットである。Fw190では、前作となるA-3F-8のパーツを流用しつつ、これらでの問題点を改善してあり、さらにデキが良く作り易いキットに進化している。
今回は、ハセガワ(旧トライマスター改修版)のFw190D-9と並行製作をしたので、このキットと比較する形でレポートしたい。



◇コクピット・キャノピー
ここは、A-3/F-8と同じものが入っている。
計器板はモールド表現で、細かいところまではモールドされていないが、適当にメータや枠・つまみなどを色付けしてやれば、そこそこに仕上がる。
シートベルトはついていないので、ファインモールドのエッチングパーツを、と書きたいところだが、手持ちがないため、手に入り次第 追加工作する予定である。

ハセガワは、計器板がエッチングパーツを折り曲げて作るようになっているが、モールドはいまひとつ平板で、いっそのことエデュアルドのように、計器部分が貫通している方が、実感があるパネルになると思う。
シートベルトはどういう訳か、D-9では省略されているので、タミヤと同様にファインモールドあたりを、都合する必要がある。

キャノピーの出来上がりは両メーカとも同じようであるが、エッチングを多用したハセガワを苦労して組み立ててみると、タミヤの作り易さは、まるで天国のようである。
ハセガワが、ガーランドハウベしか付属していないのに対して、タミヤは従来型とガーランドハウベの両方が付いており、全体的にはタミヤが良いように思える。

◇胴体
A-3/F-8では細かいモールドに省略が見られたタミヤであるが、このD-9ではハセガワに迫るできとなっている。
ハセガワのキットは、主翼下面をA/F型と同じパーツを使用しているため、機首下面に排気管のフェンスのモールドがついてるので、修正が必要である。

◇主翼・尾翼
主翼、尾翼もF-8と共通であるが、主翼外側の機銃口はパッチのモールドが残っているので、パテで埋める必要がある。
垂直尾翼は、A-3/F-8では前縁が厚すぎたが、D-9では延長されていることもあって、問題ない形となっている。
水平尾翼は、ハセガワは前から指摘されているように薄すぎるようだが、タミヤは問題ない。

◇エンジン・プロペラ
ラジエータフラップは、開状態と閉状態の2つのパーツがタミヤ・ハセガワとも用意されている。
ハセガワの開状態のパーツは若干開き過ぎなのに対して、タミヤの開状態パーツは、ラジエータの裏側もモールドされており、開き具合もちょうど良い。そこで、このタミヤのキットでは開状態としてみた。

エンジンは、両キットとも付属していない。ラジエータや排気管などのデキもほぼ同じで、特に問題ないが、ハセガワは排気管まわりにエッチングパーツが使われている分、すっきりと仕上がった。

プロペラは、両キットとも幅広の感じが良く出ている。タミヤが一体モールドで、バラバラのハセガワより作り易い。

この2つのキットは、寸法やモールドとも全く同じようにできているのだが、唯一スピナーの寸法だけは全然違っている。写真と比べて見ると、ハセガワが大き過ぎなのに対して、タミヤは小さ過ぎるようである。しかし、完成すると両キットを並べて見ない限り、違いは気にならないから不思議である。

◇降着装置
これも、F-8と同じパーツを使っているが、タミヤのキットには珍しく車輪の角度が決めにくい。
ハセガワは組み立て上は問題ないが、若干 ごつ過ぎるようだ。

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◇小物
20mm機銃は、0.8mmのアルミパイプで置き換え、胴体の13mm機銃は、一体モールドとなっているのを削り落として、0.6mmのアルミパイプで置き換えてある。
ピトー管は0.8mmの真鍮パイプと0.3mmの真鍮線を組み合わせハンダ付けしたものに替えた。

アンテナ類は全てファインモールドのエッチングパーツで置き換え、主翼上面の脚出し表示棒は、0.3mmの真鍮線で追加してある。この表示棒は日本機にもついているが、Fw190のものは日本機に比べて長めである。

◇塗装・マーキング
マーキングは、タミヤの指定塗装の1つである、JG4のII>とした。
タミヤの1/48シリーズのデカールはなぜか疑問のものが多く、このマーキングも胴体の国籍マークの中が黒になっているが、写真で明らかなように、RLM83が正しい。また、主翼下面の国籍マークは、単純な黒十字タイプとの説を取った。

塗装は、下面:RLM76(ヘルグラウ)、上面:RLM83(ダンケルグリュン)+RLM75(グラウバイオレット)のD-9型の標準迷彩とした。この機体は不時着した左側面からの写真が有名だが、資料(1)に前面や右側面がちらりと見えている写真が掲載されているので、これらを参考に、ほとんどマスキングを使わないで、エアブラシだけで仕上げてある。
塗装の特徴は、右側の機首部分にタッチアップしたようなまだら模様があることで、この辺りはタミヤの塗装図は信用できない。

マーキングは、胴体のII >マークはタミヤでデカールを使用したが、これ以外はすべてマスキング+エアブラシで仕上げた。
仕上げに、下面はアクリルのジャーマングレイ、上面は艶消し黒でスミ入れを行い、やや艶消しが強いクリアで艶を整えてある。
排気管や機銃の汚れは、パステルの黒を筆や綿棒などでこすり付けて再現して見た。

◇まとめ
Fw190D型は、25年以上前に作ったフジミ1/50やレベル1/32、15年ほど前に作ったハセガワ1/72以来である。
これらのキットに比べると、断然にデキも良く作りやすいタミヤのキットは、20年以上の隔世の感がある。
今回選んだマーキングは、帝国防衛部隊識別帯が黒/白/黒と地味なこともあって、完成後もパッとした印象はないが、いかにも高性能機という渋い感じに仕上がった。
ハセガワのキットは、防空帯のない初期型とする予定なので、黄や赤の防空帯を巻いた、派手な塗装であと2〜3機、製作したくなるキットである。

◇参考資料
1) レプリカ 1989年3月号
2) モデルアート 1995年6月号
3) Fw190とMe262写真集 航空ファン 1973年5月 増刊号
4) 第二次大戦 ドイツ軍用機 航空ファン別冊 No.33