MODELLBAU
1:48 Vought F4U-1A Corsair (Arii + Hasegawa)

F4U-1A_1
製作:1997年1月21日
記事:1997年1月22日
ベースとするオオタキのキットは、1/48のF4U-1Aとしては手に入り易いキットだが、デキのほうは古い(1976年発売)せいもあって、エンジンやコクピット内部、足回りなど相当に悪い。
そこで、ハセガワのF4U-4からできるだけパーツを流用してグレードアップをすることとした。

ハセガワのキットは定価600円時代に20%OFFで購入したもので、下手なエッチングパーツなどよりずっと安い上に、よほど使い勝手が良い。

最近、タミヤから1/48でF4U-1/2のすばらしいキットが出たが、F4U-1AまたはF4U-1Dはまだ発売されていないので、完成させるなら今のうちである。

◇コクピット・キャノピー
座席や計器パネルなど、少々つらいものがあるので、床板ごとハセガワの4型から流用した。実際は、1型と4型では、レイアウトに変化があるようだが無視してある。

キャノピーは厚めで、透明度も悪く、胴体との合いも悪い。さらに、このキットはアリイ製品のためか、中央の内側に大きな傷も入っていた。ハセガワの4型からの流用は無理なので、傷だけを消して使用したが、内部はあまり良く見えないデキとなってしまった。
シートベルトを追加し、照準器のリフレクタを極薄の透明プラ板で作ったが、キャノピーのマスキングを開けて見たら、なんと倒れてしまっていた。

◇胴体
細目の凹線のパネルラインで、基本形は何ら問題なし。胴体下部にインタークーラの排気フラップ(ダイブブレーキと兼用だったらしい)があるが、実機は、この直後で少し段が付いている。キットは無視されているので、フラップ直後を、彫刻刀で削り込み再現して見た。

エンジンカウリングは、ひけが目立つので、接着後充分に整形し、消えてしまった4ヶ所の止め帯は、0.1mmプラ板で作り直した。この止め帯は、キットのモールドでは少々オーバーなようで、少し細くしてやると良いようだ。

◇主翼・尾翼
ここは、モールドがおとなしい過ぎるが、胴体同様に問題ない。

主翼付け根の空気取り入れ口内部は、キットのままでも一発モールドながら感じが出ているが、取り入れ口の形を整形するとともに、上下の仕切り板と、内部の整流板をプラ板から作り、外側の円形のクーラは、ハセガワのパーツから切り出して付けてある。

両翼端の航行灯は色付き透明プラ材で置き換え、左翼下面の着陸灯、右翼下面の3色のランディングライトは、透明プラ、反射板(ブリキ板をパンチで抜き、金属ボールでプレスしたもの)、色付きセロハンで再現してある。

◇エンジン・プロペラ
エンジンも、ハセガワの4型から流用。エンジンは周りをカウリングに合わせて、丸く削ってやる必要がある。取り付けは、プラ板積層で、胴体側に15mmほど取り付け部を延ばしてやればOKである。

プロペラは、オオタキのものを使ったが、ピッチが足りず、横から見ると迫力に欠けているが、修正はめんどうだし、流用できる適当なパーツもなかったんのでそのまま使ってある。また、プロペラのメーカエンブレムが付く場所が、えぐれているのでパテで埋めてやる。

このプロペラだが、1D型を作ろうとした場合、根元の幅を広げる必要があるが、ハセガワの4型のものを切り取って移植すればOKのようだ。ちなみに、1D型の爆弾ラックも4型のものと同様な形状である。

◇降着装置
主輪、尾輪ともハセガワから流用した。それぞれ、オオタキ側の取り付け部のままだと、高さが不足するので、主脚はオオタキの脚を2mmぐらいに切ったもので、また、尾輪はプラ板積層で調整してある。ブレーキパイプはいつものように、極細のハンダ線で追加してある。
主輪タイヤは、幅広でトレッドパターンが菱形のものだが、1型、4型とも幅細で、縦線トレッドのものと両方使われていたようである。どうも、陸上基地で運用された機体には、菱形タイプが多かったようで、縦線トレッドは空母での使用機用だったのでないだろうか。
今回は、VF-17としたのでハセガワのキットのままで問題はないだろう。

脚カバーもハセガワから流用したいところだったが、オオタキのものと形やサイズが違うので、流用できなかった。オオタキのものも、一応は裏面のモールドがあり、そんなに悪いデキではない。

F4U-1A_2 F4U-1A_3 F4U-1A_4
◇小物
ピトー管は、真鍮線とアルミパイプとの組み合わせ。独特のピトー管先端部分のトゲは、ハンダを盛ったものから整形してある。
機銃口はただの穴なので前縁から0.5mmほど奥に、0.8mmのアルミパイプを差し込み、前から見ると、キラリと光るようにしてある。
コルセアで問題なのは、アンテナマストで、今回作ったVF-17の機体は、写真をいくら見てもマストが全然付いていなかった。という訳で、アンテナマストは無し。
張り線はあるので、キャノピー後部右側の引き込み部を追加し、尾翼上端の取り付け部も形が違うので、プラ板で作り直した。
張り線は、私の奥さんの髪の毛を流用(断面は円形で良いのだが、若干細すぎるかも?)。湿気を吸うと伸びてしまうので、水に濡らして伸びきった状態で張ってある。

◇塗装・マーキング
塗装は、もちろんトライカラースキム。マーキングは海賊旗をどうしても付けたかったので、スーパースケールデカール(48-572)を使用した。
今回 使用したスーパースケールのデカールには、4機分のマーキングが付いているが、その中から海賊旗で有名なVF-17の9番、Lt. Merie Davenport機として見た。

最初にサーフェーサの1000番をエアブラシし、表面の最終チェックを行い、最初に白色をエアブラシする。
国籍マーク部分をマスキングして、インターメディエイトシーブルー、シーブルーの順番で、マスキング+エアブラシで塗装する。
色と色の境界のボカシは、マスキングを取ってから、エアブラシを充分に絞って行ってある。この、インターメディエイトシーブルーとシーブルーは市販の色をベースに試行錯誤を繰り返し調合したもので、非常に気に入った色合いとなっている。

国籍マークは、白色を塗装で行い、白部分を切り抜いたデカールを貼ってあるが、国籍マークのマスキングがずれてしまい、修正に苦労してしまった。
マーキングは全てデカールを使ったが、機番の白色は透けてしまうので、デカールの上から、塗料を筆塗りで乗せてある。また、例のキャノピー前の油漏れ止めのシールは、この機体に付いていったかどうかは判らないのだが、付いていた方がコルセアらしい?ので付けてしまった。ただし、デカールはそのままでは全然、キットに合致しないので、切った貼ったで仕上げてある。

仕上げは、最初に艶ありクリアを全面にエアブラシし、グロス仕上げにしてから、フラットクリアを様子をみながらエアブラシして、カサついた感じがでるように仕上げた。
汚れは、F6Fほどひどくはなかったようで、4型で見られるような塗料の灼き付きも、1型では見られないようだ。アクリルのフラックブラックを薄めたもので、スミ入れし、排気と機銃周りの汚れはパステルで、軽めにやってある。塗料のハゲの表現は今回も見送り。

◇まとめ
零戦やP-51などと比べると、大きな機体であるが、少し後ろから見た姿などは、非常にスマートな機体である。全体形としても、カウリングが持ち上がり気味で修正しようとかとも思っていたが、塗装すれば気にならなくなり、キットのままで良かったようだ。
オオタキ、ハセガワとも、もう1個ずつストックがあるので、同じようにハセガワをつぶして、タミヤから1D型が出なければ、1D型とし、出ればイギリス使用機とでもしようかなどと考えている。

◇参考資料
1) 世界の傑作機 1973年5集 コルセア
2) 世界の傑作機 1978年12月 No.104 F4Uコルセア
3) モデルアート 1995年7月号
4) ホビージャパン 1976年2月号