MODELLBAU
1:48 Bell P-39F Airacobra (Monogram)

P-39F_1
製作:1996年1月2日
記事:1996年1月4日
P-39の1/48キットとしては唯一のものであるが、モノグラムスタンダードな出来で組み立てやすく、外形も問題が少ないキットである。
ただ、機首部分やエンジンの一部、コクピットのドアなどが開閉選択式となっているが、例によって合いが悪い。
また、前輪式なので、重りを入れるスペースを確保する必要性からも、機首部分は塞いでしまうことになる。

◇コクピット・キャノピー
コクピット内は、良くできたモールドとなっているので、キットのままストレートに製作してある。ただ、後部の防弾ガラスが付けにくかったので省略してしまった。
開閉選択式の右側ドアについているマップケースは、プラ板から作り直してある。パイロットは乗せていない。

キャノピーは外形、透明度とも問題ないが、機体との合いはあまり良くないので、充分なすり合わせを必要とした。
また、この右側ドアは開けた状態とする場合には問題ないが、閉めようとした場合、機体やキャノピーとの合いが良くないので、充分に調整をする必要がある。
前述のようにコクピット内部の出来が良いので、ここは開けて内部が見られるようにするのが正解であろう。

◇胴体
全体に適度な凸彫りのモールドが施されているが、私の趣味として凹彫りに直すことにしているので、今回も全て彫り直してある。図面や写真を見る限り、外形・寸法やパネルラインとも正しいようである。

機首部のガンベイは非常に良くできているのだが、製作するP-38Fが20mm機銃装備(キットは37mm機関砲装備のみ)なのと、しりもち防止用の重りスペースを確保するため、ここの内装は全てオミットして重りを詰め込んだ。

◇主翼・尾翼
平面形やパネルラインは問題ないようだし、アメリカ陸軍戦闘機共通の翼端そり上がりは充分ではないが、一応の表現がなされている。
しかし、主翼上面に燃料タンクの給油口が片側に5個づつモールドされているのだが、普通に考えると多すぎる気がする。
主翼付け根にラジエータ吸気口の形がおかしいので、プラ板とパテで形を修正してある。また、主翼・尾翼とも、モールドは彫り直してあるが、この機体は主翼下面に小さなアクセスパネルがたくさんあって、彫り直すのがたいへんであった。
主翼フィレット部だけは、一段盛り上がったモールドを活かすために手を加えていない。

左翼下面には大きめの着陸灯を装備しているので、クリア材でガラスを再現して、メッキされた金属板(ブリキ板?)を凹面鏡にプレスしたものを仕込んである。ちなみに、この凹面鏡は金属板を穴開けパンチで打ち抜き、BB弾でプレスした。
さらに、主翼端と垂直尾翼の航行灯はモールドを削り落としてから、1.0mm径のピンバイスで穴を開け、透明プラ材で作り直してある。(少々、大きすぎたのと形がいまいち整っていなかった)

このキットの最大の難関は、胴体下部と主翼との接合部分で、大きく段差ができるのと、ラジエータ排気口のフラップが形になっていないことである。ここは、パテやプラ板で充分にスキマを埋めてから、ラジエータ排気口フラップを0.3mmプラ板で作り直すとすっきりと仕上がる。

◇エンジン・プロペラ
エンジンパネルが一部開閉選択式だが、ここは固定してしまう。
エグゾーストパイプはP-38F型なので、12本独立したタイプを使用した。バリの整形に気をつけないと、エグゾーストの歯並びが悪くなってしまう。

プロペラ・スピナーはキットのまま使用したが、スピナー部品(2分割されている)の合わせが悪く、また、完成後に目立つ部分なのできちんと整形すべきであった。

◇降着装置
主脚部分は、主脚自体が短いし完成後は目立たなくなるので、キットのまま製作し、ブレーキパイプも付いているとは思うが、確認できなかったので、追加工は行わなかった。

問題は前輪であるが、このデティールが良くないので、手を入れてある。
まず、キットの部品から、前輪扉とトルクリンク、引き込みアームを削り落としてやる。前輪タイヤを挟み込んで、U字アームを接着してから全体を整形して置く。
次に、トルクリンクを作り直すが、下部バーは4個の軽め穴が開いたプレートで上部は、V字型の金具である、さらに上部バーの方が短いので注意が必要である。
さらに、引き込みアームは簡単に言えば、中折れ式の松葉杖のような形になっているようだ。中折れ部までは、アームが平行に走っていて、そこから若干広がりながら、機体内部に続いているようだ。
アーム間の補強バーは完全には確認できなかったので、適当に作ってある。この、中折れ部に引き込み用のアクチュエータを付けておしまいである。
前輪にはブレーキパイプなどたぐいは付いていない。

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◇小物
ピトー管は、0.6mmぐらいの金属線にハンダでとげ?を再現し、1mm径の金属パイプと組み合わせたものと交換してある。
キャノピー後部のアンテナは、このキットでは忘れられているので、(付いていない機体が多く存在したようだ)0.3mmのプラ板で作ってある。

翼端の7.62mm機銃は適当なものがないのでキットのまま。スピナー貫通の20mm機銃は1mmの金属パイプで作り直した。ちなみに、37mm機関砲とす場合は、もっと太く短かいし、キットのままだとN型やQ型の20mm機銃の感じである。

胴体下の燃料タンクはP-39初期型独特のタイプで、キットのものは良く感じが出ている。取り付け方が実機と異なるので修正してある。まず、取り付け用のパイロン側のでっぱりを削り、燃料タンク側のへこみをプラ板で埋める。
それぞれの中央部に取り付け用の穴(1.2mm径ほど)と、前の方に燃料用S字型パイプの穴(0.8mmほど)を開けて置く。さらに、パイロン側にトラス型の揺れ止め4個を、延ばしランナーから自作する。
中央の穴は延ばしランナー、S字型パイプは金属線から作り、燃料タンクを機体に取り付ける。
なお、このタイプの燃料タンクは給油口が結構出っ張っているので、延ばしランナーでデティールアップしてある。

◇塗装・マーキング
塗装・マーキングはキット指定で資料(1)の見開きグラビアに大きく載っている、第59戦闘大隊第488戦闘中隊のレスリー・スプーンツ中尉機(ジョージア州トーマスヒル基地)とした。
ドアのパーソナルマーキング(狼?かコヨーテ?)と尾翼のシリアルナンバーをキットのデカールを使用して、それ以外は全てマスキング+エアブラシで仕上げてある。
色調としては、ニュートラルグレイはグンゼのMr.カラーそのままでは、暗いようなので若干明るめにした。ミディアムグリーンは明るめの色とゆうことで、ロシア戦車色グリーン(2)をそのまま使用し、オリーブドラブは茶色味が強い現用機用を使用してある。

最後に、半ツヤ消しのクリアでツヤを整えたが、使用したオリーブドラブやグリーンと白色のツヤに差があり過ぎてなかなか、自然なツヤにならなかった。

◇まとめ
このキットはいつになく年末年始にかけて、集中的に作業を行い完成させたが、前輪や胴体下の燃料タンクなど、細かく再現したと自己満足している。

エンジンが胴体中央にあり、スマートな機体ではあるが、適度にスミ入れと、ドライブラシを掛けてやると、思ったよりスゴミのある機体となった。
このキットはもうひとつ持っているので、P-400としてシャークマウスを付けるか、P-39Qに改造してソ連のマーキングにでもして見たい。

◇参考資料
1) 世界の傑作機 No.34 1973年2月号 P-39エアラコブラ